こんばんは。

今日は友だちと一緒にご飯でした。
みんなでいっぱい食べました。
胃もたれするほど・・・（笑）

今日のＳＳは薄桜鬼の沖田さんと千鶴ちゃんのＳＳです。

[2回]

【金平糖を半分こ】

「ちーづるちゃん」

庭先で洗濯物を干していると、
何やらご機嫌な様子の沖田が
自分に向かって手招きをしていた。
何の邪気もない笑顔が珍しいと思い、
彼に近づく。

「どうかされたんですか、沖田さん」
「うん、あのね、近藤さんから金平糖をもらったんだ。
だから、もしよかったらいっしょにどうかなと思って」
そう言って縁側にすわり、
自分の隣を軽くたたいて、
座りなよ、と促す。
千鶴はおずおずと腰を下ろした。

少し空いた二人の隙間に
沖田が金平糖の包みを置く。
一つかじって、もう一つを千鶴に手渡した。
それを取って口に放り込む。
優しい甘さが口いっぱいに広がった。
思わず、おいしい、という声が漏れる。
「そうでしょう？
近藤さん、『とっとき』って言ってたよ」
「そうなんですか。
私なんかが頂いちゃっていいんですか？」
「いいよいいよ。僕がもらったんだし」

そのまま時折世間話を交えながら金平糖を食べていくと。

「あ」
「あーあ」
どうしようという表情の千鶴と、
おもしろがる表情の沖田。
正反対の表情をした二人の間には、一粒の金平糖があった。
「千鶴ちゃん、食べなよ」
沖田はすぐにそう言ったが、
千鶴は首を縦には振らない。
「これは沖田さんが頂いたんですから、
沖田さんが召し上がってください」
「そう？そこまで言うなら食べちゃうよ？」
そう言って沖田は金平糖をつまみ上げる。
すると一瞬、千鶴はうらやましそうな表情になった。
それを見た沖田の口元が意地悪い弧を描く。
しかし、悲しいかな、千鶴はそれに気づかない。

「そういえば、近藤さん言ってたな。
この金平糖の中にとびっきり美味しいのがあるって。
千鶴ちゃん、あった？」
「え？さ、さあ・・・。
どれも、とても美味しかったですけど・・・」
「ふうん、じゃあこれかな、一番おいしいの」
そう言って口にその金平糖を放り込んだ。
そして大げさすぎるほどに言った。
「あ、これ美味しい。これだね、当たりのやつ。
あーあ、千鶴ちゃん、可哀想に」
横目で千鶴を見ると、うらやましそうな色が濃くなった。
その表情に満足しながら問いかける。

「千鶴ちゃん、もしよかったらこれ、半分こしない？」
「へ？」
今度は目が点になる。
「こ、金平糖を半分こなんて聞いたことないですよ。
それに沖田さん、もうお口に入れちゃってるじゃないですか！
それをどうやって半分こできるって――」
「できるよ」
短くそう言うと、沖田はいきなり千鶴を引き寄せ、
彼女の口を自分の口でふさいだ。

千鶴は眼を見開き、離れようとするが、
体に回された腕はびくともしない。
そうこうしているうちに、
沖田の舌が口の中に差し入れられ、
金平糖が滑りこんできた。

それからどれくらいの時間が経っただろうか。
実際にはほんの数秒のことだったが、
千鶴にとっては一刻のように感じられた。

やっと解放された千鶴は、うるんだ目で沖田をきっと睨んで抗議する。
「――っ！なんでいきなりあんなことするんですか！」
「え？だってあれが一番手っ取り早く半分こできるやりかたじゃない」
「だ・・・だからって・・・」

いきなりあんなこと・・・と体をわなわなとふるわせ、
顔を真っ赤に染めながらも精一杯の虚勢を張って沖田を睨みつける。
そんな千鶴を見て、沖田は、
そんな顔されても逆効果なんだけどな、とかなんとか呟き、
ゆっくりと立ち上がる。

「でも、おいしかったでしょ？
今度またなにか半分こしようね」
そう言ってゆっくりと立ち去る。
その背中に向かって、普段おとなしい彼女にしては珍しく、
千鶴は叫んだ。

「もう沖田さんと半分こなんかしませんー！」

【あとがき的なｓｏｍｅｔｈｉｎｇ】
千鶴ちゃんに片思い中で
なんとか彼女を意識させようとする沖田さんのお話でした。