おはようございます。

課題に泣かされっぱなしの瑠璃です。
来週にはテストもあります…。
あ～怖い。

今日は図書館戦争SSアップします。

郁と柴崎で、郁のデート前夜です。
藤田麻衣子さんの「デート前夜戦」が可愛くて
お話をかいてみました。
曲と設定は違うけど…

ぜひ曲も聴いてみてください(^^)

[11回]

【デート前夜戦】

「うーん、うーん」

隣から聞こえる唸り声に、柴崎は何度目かの溜息をついた。
自分が見ているドラマでは、主人公が
ヒロインに自分の想いを伝えようと
ひたすら田舎道を走っている。
ありきたりな展開ではあるが、
これはこれで面白い。
普通ここは感動したり、
間にあうだろうかとはらはらしたりするところなのだろう。
間違ってもうめき声を上げる場面ではない。

ちろりと横目で郁を見ると、
彼女はドラマどころではないらしい。
手にした服を見つめては、
あーでもないこーでもないと唸っている。
カレンダーを見ると、明日の日付のところに、
控えめに赤マルがつけられている。

やれやれと思い、郁に声をかけた。

「笠原ー、まだ決まんないのー？」
いいつつチャンネルをニュースに合わせる。
現在時刻、２２：５２。

「久々の堂上教官とのデートだからって、
　そんなに気合入れて服選ばなくてもいいんじゃない？」

そう。
明日、郁は堂上とデートに行くのだ。
堂上はつい先日まで入院していて、
しかも付き合うことになったのは、
入院していた時だから、
これが付き合って初めてのデートということになる。
しかし、郁は『久々の』という部分に反応した。

「久々じゃないよ！
　前に二人で出かけたのはデートじゃないし！」
「あー、途中で緊急事態が起きて
　帰って来なきゃなんなくなったからねー」
「そういう意味じゃないっ！
　あたしにとってあれは、上官との約束だったし！　
　絶対向こうもそう思ってたし！」
「仕事以外の理由で男と出かけるなんて、
　デート以外の何物でもないわよ。
　堂上教官だって、デートだって認識してたっぽかったって、
　小牧教官が言ってたもの」
「うー、えー、あー…
　あ、ねぇ柴崎、こっちとこっち、
　どっちがいいと思う！？」
そう叫ぶと郁はいきなり服を二着、
柴崎の目の前に突き出した。

「堂上教官ってどんなのがタイプかなあ？　
　前はヘンに思われないように、ってばっか考えてたけど…
　清楚なのかな？女の子っぽいのかな？
　ボーイッシュかな？大人っぽいのかな？」

それをきいた柴崎は口をあんぐりと開けた。
「あんたね、なんで今さらそんなこと気にすんのよ。
　あんなにお洒落して病院通いしてたくせに」
「だ、だって！　今度は一日中一緒にいるから、
　好みの格好していきたいじゃん！
　飽きられてもやだし」
「前半二つはともかく、後半二つはなんなのよ。
　あんたはほっといてもボーイッシュだし、
　大人っぽくみられるかどうかを気にするような年齢かっ！」
「だってぇー！　
　あ、靴はヒール低い方がいいよね、
　教官、背が低いし。
　あ～、髪型もどうしよう！
　可愛いピンとかつけてったほうがいいかなあ？」

まだ混乱の中にいる郁を柴崎はハイハイといなし、
とりあえず部屋に散らばっている服を郁に合わせる。
そしてこれはないな、と思うものを、
どんどん箪笥やクローゼットの中にしまいこんでいった。

こんなことしなくても、堂上教官はあんたに夢中だってのに、
なに必死になってるんだか、このムスメは。

ちらりとテレビを見ると、スポーツニュースをやっていた。
ということは、もう十二時過ぎか。

バッグどうしよう、ハンカチどうしようと、
まだまだ「どうしよう」「これじゃない」「これもない」を
連発している郁に、
とりあえず、何時に寝れるか、それと明日は寝坊しないかだけの
心配をしなさいよ、と思う柴崎であった。

【あとがき的なsomething】
付き合い始めたばっかりのころの郁ちゃんは、
柴崎様がいないとはまらなくてもいい迷路にはまりこんでそうだな、と。